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子供のスマホはキケンなのか、すばらしい道具なのか?

教室では授業の最初に私が毎週テーマを決めて学び方に関係する話をしています。
1分間レッスンと私は名付けていますが、今週はスマホを取り上げています。

今、教室に来た時に受付にスマホを預ける中3生がいます。安心安全の目的で教室の行き帰りはスマホはひとつの道具として意味がありますが、教室内では必要ありません。行きすぎた行動が見られたため、面談でご両親に相談したところ、ご家族で話し合った結果として、教室に来たらスマホを受付に預けるということを自主的に始めてくれました。
すばらしい決断と行動です。

子供にスマホを持たせるか否かは、ご家庭での小さい頃からの子育てに関する考え方で正解は異なると思っています。いつから持たせるかは、難問です。

杉山家での事例を今回のプリントにもさりげなく、小さく書いておきましたが、我が家ではスマホは高校生になったら持たせ、パソコンは大学生になったら持たせるということをしていました。長男が小中高校生の頃、私は学校の教室で利用する教材コンテンツ、職員室で使うシステムを開発する仕事を担当していました。モノ作りをしてはいましたが、途中からこれを使うことをきっかけに学校を劇的に変えましょうというコンサルティングをするのが多くなったのですが、この時の学校や教育委員会との関係性が今、大きく役だっています。

モノ作りではデジタルが子供にもたらす影響も脳科学の先生と相談しながら進めていたということもあったと思いますが、子供の間はなるべく「スクリーン」から遠ざけていました。我が家の子供は合わない資質を持っていたというのもあります。合っていたら、違う接し方をさせていたと思います。これに関して理由を書き連ねていくと、たぶん本が1冊書けてしまうので、これは将来のネタに残しておきます。

教室で進研ゼミをタブレットで使っている生徒に紙に書くという動作をしつこく要求しているのは、スクリーン型の学び方のメリットとデメリットを知り尽くしているからと思ってください。タブレット学習にも子供によって向き不向きがあります。小さい頃の教育環境によっても判断は異なります。教室に来て3年目になりますが、観察した結果、タブレット学習を止めていただき、紙の教材に変更していただいたご家庭もありました。

今、教室に来ている子供たちの様子を見ていると、中学生になる前からすでにスマホを子供に買い与えているご家庭が多く、少し心配になっています。極論を言うと、小中学生がスマホを持つ必要性は全くありません。スマホを持つことによる弊害を嫌というほど目にしてきたというのもあります。

プリントのおもて面では、スマホ依存チェックテストとスマホを使う目的について記載しています。日本のかなりの小中学生がスマホ依存症の予備軍になりかけているのではないかという疑いを持っているため、スマホ依存チェックテストでふり返りをうながしています。依存症は明確な病気です。ひどい場合は専門の治療が必要になる「病気」です。

スマホを使う目的には、スマホに遊ばれてしまうことにつながるものと、道具として建設的な行動につながるものがあるということもプリントで伝えようとしています。

プリントのうら面では、賢い使い方をしようというテーマで記載しています。
時間の浪費、娯楽での利用は短く、スマホに支配されないようにし、活用する時間と方法を管理するように話をしています。

「子供がスマホばかりさわって、まったく勉強しない。どうすればよいですか?」という相談を受けることがよくあります。基本的には、スマホを与えると勉強しなくなるのが普通です。一時的な場合と継続的にだんだん激しくなる場合があります。当たり前の話です。それを承知で買い与えたという事実は百も承知ですよねと言いたくなることがありますが、ご家庭の様子、今までの経緯、環境までわかりませんので、ぐっとこらえるということがよくあります。与えてしまっているので、どうするかという問題になります。

本来は高校生になるまでは不要です。部活の連絡網にLINEを使うというのも一般的になっていますが、本人のスマホでLINEをしないといけないわけではありません。ご自宅のパソコンでもLINEはできます。

なお、今春の都立高校で都立立川高校のみがWeb出願を試行していましたが、来春は20校ぐらいに増やす予定のようです。今の中2生は普通にWeb出願になるはずです。私立はWeb出願が当たり前ですので、ご家庭でのパソコンとWiFi環境を持つということは高校受験には必須だと思ってください。まだないご家庭は必ず準備をしてください。

高校生はスマホは与えてよいと言えます。今、教室に通ってきている高校生については、進学先の高校の様子もわかっていますし、きちんと大人としての考え方もできる生徒がそろっているので、問題はありませんと自信を持って言えます。例えばLINEを友達としている最中でも、「これから勉強の時間だからLINEから抜けるね」と言える力を持っていると思います。
小中学生は正直なことを言うと、買い与えてもよいと思えるのは全体の20パーセントぐらいです。

中学生は大人が想像する以上に自制心が乏しいと思ってください。自制心のない子供に対して、スマホのような高くて、維持費もかかり、自制心を壊すようなおもちゃを買い与えるとどうなるかは、決断する前に想像してほしいと思います。

自分をコントロールする力がない子供は絶対に持つべきではありません。

プリントには、成績がよいことも買ってよい場合の大前提として記載しています。
中学生は英数国理社がオール4の力がある人。
小学生は学校のテストがいつも90点以上とれている人。
と、定義していますが、かなりゆるやかだと思ってください。間違いなく一時的にでも、生活が乱れ、成績がさがるきっかけになるものがスマホだったというのが私が目にしてきた子供の主流派です。小学生は90点以上とるテストの中に英語も入れてください。特に中受を考えているご家庭は英語は真剣に取り組む必要があります。公立中高一貫校では当たり前に入試の中に英語の問題が入ってくる日がやってきます。私立中受験も当たり前になります。

プリントの最後にスマホのルールの例を載せています。
小中学生は、親が規制しなければ本能のままに動きます。スマホは勉強よりも魅力的です。大人度合いが低い子供は特に危険です。

ルール作りでプリントには書いていないことをお話します。

まず、一方的な押し付けにならないように必ず子供と話し合いながらルールを決めてください。この部分は十分に時間をかけて、妥協しないでください。あなたのことが心配だからということも十分に伝えてください。
すでに持たせていて、ルールがない場合は新たに作るのがよいです。ルールがない場合は作るように教室で話をします。
ルールの数は子供の状況に応じて数を調整してください。
あまり多いとルールを覚えられないので、小学生は5個程度でもよいです。

次に、ルールを守れなかった時にどうするかを決めておくとよいと思います。
約束を守れなかったら、1週間○○当番をします。
約束を守れなかったら、1週間、スマホを没収します。
など、ご家庭の普段の様子からしっくりすることを考えてみてください。

最後に、ルールをつくったら、紙に書いて、子供と一緒に声を出して読み上げ、 子供自身に日付と名前を手書きで記入させましょう。守ろうという意識付けです。ルールの紙はいつも家族が目にできる場所に貼っておきましょう。

おまけとして、友達にもルールを伝えるように子供に働きかけてください。友達がルールを知っていてくれると、いざこざが起きにくくなります。LINEの返事が来なくても、あっそうか○○時からは使えないルールになっていたと友達が思ってくれるので、安心して眠ることができます。

スマホは恐ろしい道具であり、便利な道具です。
生かせるかどうかは、ご家庭の力にかかっています。