受験生が模擬試験を受け、特に記述部分の自己採点をすると、成績がいい子供ほど自己採点が悪いという傾向が見られることが多いものです。
ダニング・クルーガー効果と呼ばれるもののひとつの例です。米コーデル大学のデヴィット・ダニングとジャスティン・クルーガーの2人の心理学者によって提唱された大学生に関してのことなのですが、実際に子供たちと接しているとかなりの確率で教室でもあてはまります。
ダニング・クルーガー効果とは、
・成績が低い学生ほど自分の順位を過大評価し、
・優秀な学生ほど自己評価を控えめにしている。
という研究結果で、能力の低い人は実際よりも自分を高く評価してしまう現象のことです。
成績の悪い学生ほど、自分の得点を高く見積もり、テストの成績が良いグループは自分の得点を若干厳しく見積もっているということです。
自分を高く評価する傾向にある場合、変な考え方を持っている場合があります。
ひとつ目は「やればできる」です。では、いつやるんですか?ということも考えて欲しいと思います。「やればできる」という言葉は、単に予防線を張っているだけですので、やりはじめた時にはもう遅いということが起きてしまいがちです。「やればできる」というのが本当にあてはまる場合もまれにありますが、正しくやるという作法ができるようになるには時間がかかります。やればできると思っていたら、間に合わないことがあります。
ふたつ目は「勉強ができる人は頭がいいから、自分とは違う」です。勘違いしてほしくないのは、勉強ができる人は頭がいいというわけではないということです。頭がいいのではなく、たいていの場合、勉強時間が長かったり、やり方も正しかったり、勉強の時にしっかりと集中しているだけだったりします。要はやっているか、やっていないかに行き着きます。
自分を客観的に見つめ、行動するのが大切です。
冒頭でご紹介したダニング・クルーガー効果はものすごく恐ろしい事実を示しています。
成績がいい子供ほどどんどん勉強をおこない、本当は勉強をしないといけない子供ほど手を抜いてしまうということです。差はどんどん広がるばかりです。これは見方を変えると、ひとりの子供の中にも場面やタイミングによって、ダニング・クルーガー効果が起きる可能性を秘めています。数学が偏差値60を突破し、英語が50だとします。そうすると英語に力を入れないといけないのですが、計画的に向き合わないと数学に力が入りがちになることが多くなります。客観的な視点で自分を見つめさせないといけないので、そうさせるために私やコーチの役割バランスがうまれます。教科のバランスを考えた学習を考えて、計画し、行動することが大切です。