毎年、受検生には何度も志望理由を書かせたり、聞いたりしながら把握します。把握というより、問い詰めるという言葉があっているかもしれません。正しい気持ちの部分を育てていかないといけないからなのですが、私の気持ちとは裏腹によく返ってくる志望理由は「近いから」「○○部があるから」「校舎がきれいだから」「制服がかわいいから」「指定校推薦が多いから」など、ひと言で終わることがとても多いものです。
国公立でも私立でも、学校毎に校風があります。この校風は漠然としていると思っている子供が多いと思います。保護者の皆さんもそうかもしれません。
高校受験や中学受験で学校を必ず見に行くようにお願いしていますが、感じ取って欲しいのはこの校風です。空気と言ってもよいかもしれません。特に生徒に対する学校の姿勢、接し方を感じ取って欲しいと思います。
自分の意見、考えを持ち、束縛されるのが嫌という子供は、生徒の自主性や主体性を重んじる学校であってほしいと思います。高校で言うと、成績は上位の高校になります。制服もなかったりする場合もあります。
コツコツ努力し、一方でいろいろな考え方を吸収して、それを自分の考え方に昇華するのが合っている子供は、生徒を一定レベルで管理しようとしている学校があっている場合が多くなります。自由な校風、生徒の自主性を重んじる場合は迷路にはまってしまう場合があるからです。
この判断をする場合、どんな3年間、もしくは6年間を過ごしたいのかをよく聞き、考えや見方を引き出すことが大事になります。決して、合格の瞬間だけを考えるのではなく、入学から卒業までの時間を考えさせることが大切です。志望校は最初はどこもよく見えるものです。でも例えば高校であれば、文理選択だけを取ってみても、高1の秋に決断を迫る高校もあれば、高2の秋まで決断を伸ばす高校もあります。医学部志望でも手に届かない場合、薬学部という選択肢に誘導する高校が多くありますが、あえて理工系へ誘導する高校もあります。
教室では見ていてまずいと思った志望選択については、真っ向から反対するケースがありますが、卒業までを考えた結果と思って下さい。