小学校5年生前後から伸び悩む子供が増えてきます。
こういう場合の特徴として書くことを嫌うということがあります。算数で説明するのが一番わかりやすいのですが、それまでは書かなくても頭の中で解いて、はい正解、ということができてしまいやすいからです。複雑な問題は書かなくてもそれまではできていたので書かないで解くということになれてしまっているとやっかいです。
算数、中学校の数学では途中式が書かれていると部分点が取れる場合が増えていますし、あっ、ここまではできているというのが採点者に伝わりますので、先生の心の中にはこの生徒はここまではわかっているということが心にきざまれます。途中が何も書いていないと、丸、ばつの印象しか残りません。内申への影響も違います。書くというのはとてもよいことです。
また、書くときに採点者に伝わるように書くという視点はとても大事です。子供のノートやテストを見て、なぜこうしたのかわからないという場合は、笑顔でこれはどうやって考えているのと聞いて下さい。人に説明することができるという能力は学力に直結します。
ここで、昨日に続き、私立中学入試の問題例を紹介します。
問題1
渋男君は、算数のテストでクラスの上位半分に入ったら、ごほうびをもらう約束をお母さんとしました。テストが終わり返却されたところ、渋男君はクラスの平均点よりも低い点数でした。それを見たお母さんは「平均点よりも下だから、上位半分には絶対に入っていないわね。」と言いました。
「平均点よりも下だから、上位半分に絶対に入っていない」とは限りません。その理由を、お母さんが納得するように説明しなさい。
問題2
今まで算数を勉強してきたなかで、実生活において算数の考え方が活かされて感動したり、面白いと思った出来事について簡潔に説明しなさい。
いずれも都内の中でも難関と言われる私立中学の入試問題です。
問題1は「お母さんが」、「納得するように説明する」という文章で子供がえ~とならないようにしてほしいものです。素直な子供だとここに反応してしまうかもしれません。
「納得するように説明」というのは大学入試の変化を意識しています。
この問題は簡単にどういうことかがわかる小学生も多いのですが、わかってていてもわかりやすく伝えるのは難しいことです。
さらに今回は「お母さんが納得するように説明する」という但し書きがついています。
こういうものは具体的に説明するのが一番簡単で納得しやすいと言えます。
簡単にするため4人のクラスで考えます。
1位が100点、2位が20点、3位と4位が0点
の場合、平均点は、120÷4=30点で2位より上になるので、上位半分には絶対に入っていないとは限らない。
具体的に説明できました。
実例や具体例で説明するのが、一番相手に伝わるというのは大事な考え方です。
自分のことを面接でアピールする時も、抽象的な言葉でいくら話をしても伝わりませんが、具体的なエピソードを交えて説明するととたんに相手に自分のことを知ってもらうことができます。
問題2は実は、解答欄は1行の大きさしかありませんでした。
とてもリラックスした状態の時に小学生に聞いてみると、こんな答えが返ってきます。
おつかいに行った時に、お店の人がお釣りを間違えていることにすぐに気がつくことができた。
書いて、書いて、書いて学ぶということ。
採点者に伝わるように書くという意識も持つこと。
生活の中で、「なぜ?」をいっぱい見つけて、説明できる状態にする。
これらのことが大事で、後々、恐ろしいほどの差になります。