公立中高一貫校の入試では「適性検査」という問題に取り組みます。
文字通り我が校に入学する生徒として6年間の一貫教育に「適性」があるかどうかをみて、該当する受検生に入学をしてもらう、という形式を取っています。
適性検査は1、2、3と3種類あります。
適性検査1は国語の分野で、毎年、2つの長文が題材として登場します。これを元に文章力を見る問題です。文章力では普段、ご家庭で学ぶとか、将来とかを話題にしている家庭で育っているかを見ようとしているなと思いました。本人もさることながら、家庭力が必要だよということが問題から感じられました。
今年の長文はそれぞれ次の作品です。
遠藤敏明「自然と生きる 木でつくろう 手でつくろう」
田口幹人「なぜ若い時に本を読むことが必要なのだろう」
遠藤敏明さんの「自然と生きる 木でつくろう 手でつくろう」は、スウェーデンで木材工芸を学んだ著者が、子供たちに向かってものづくりの心を綴ったものです。これは本当にすばらしい本です。
田口幹人さんの「なぜ若い時に本を読むことが必要なのだろう」という文章は「10代のための読書地図」の中に出てくる文章なのではないかと思います。
この「なぜ、若い時に本を読んだ方がいいのか?」という問いには答えが無数にあると思います。私は何としても、教室の生徒には本を読ませたいと思っていますが、私が本を読ませたいということの意図は7つあります。いずれ話す時が来ると思いますが、読むということが当たり前にならなければ、話してもわからないと思いますので、今はその時期ではないと思っています。
先日の小4・小5親子のための中学受験セミナーの中の話の中でも「読み聞かせ」ではなく、「親子で同じ本を読む」ことの大切さをちらっと話をしました。なぜかということには触れませんでしたが、同じ本を子供も読み、親も読み、語り合うことが読み聞かせよりも大切だと考えています。読み聞かせをしようとして、読むのではなく、自分のためにも読むという行為が大切です。これもいずれじっくりと話をする機会が来ると思います。
適性検査2では、プログラミング的思考をかもし出した出題ですが、速度、図表化の力が必要なていねいに試行錯誤する力があるかを見る問題が出たり、適性検査3では都立大泉の場合ですと、独自問題でしたが、理科の分野ではミドリムシの観察、算数の分野では平面図形、立体図形を扱った考える力があるかをみた問題でした。
算数の問題が文章を読み取る能力が必要になっているのは最近の国立大学受験の問題を意識した問題です。随所に共通テストのミニ版ではという様子が見られました。
公立中高一貫の入試は大学入試につながる大事な力の育成になります。中学受験は本気で取り組むと、合否の結果に関係なく、6年後にやってよかったと心から思うことができる取り組みです。中学受験を活かすかはこれからの6年間のすごし方で違ってきます。中学受験をしなかった場合は地道に学ぶ習慣を再構築し、一気に伸びるという経験ができるかどうかが大事になります。教室で進む道を示していきます。