昨年の9月のあるご家庭の様子です。保護者の方、本人に承諾を受けた上で、様子を再現します。
「ただいま~」
中学3年生、つまり受験生が中学から帰ってきました。
部活は引退していますので、帰宅時間は16時半ぐらいです。
いつも塾の授業はFコマの夜20時からやって来る中学3年生です。
帰ってくると着替えて、リビングのソファに座り、まずおやつを食べます。
おやつを食べ終わってから、様子を見ているとソファに座って、スマホをいじり始めました。
母「勉強は?」
ついつい、言ってしまいますね。
受験生「ちょっと休憩してから」
と言いながら、目線はずっとスマホです。
おやつを食べ終わって、20分が経過しましたが、まだスマホをいじっています。
母「勉強しなくて、大丈夫なの?」
まだこの時点ではお母さんも笑顔です。
受験生「これからする」
このあと、1時間がすぎてもスマホをいじっています。
母「いいかげんに、べんきょうしたら? 受験生でしょう」
少しイライラしてきた口調になっています。
受験生「わかってるよ」
さらに10分経過。
母「いつまでスマホさわってるのよ!」
もう怒りが100%の状態です。
受験生「わかってるって、うるさいな~。もうちょっとだから」
結局、夕飯の時間になり、夕飯を終えると、塾に向かっていく。
こんな生活が9月から10月末まで続いていました。
教室では保護者の皆さんに「勉強しなさい」と言わないでくださいというお話をしています。「勉強しなさい」の中で育つと、言われないと動かないという子供になりやすいからです。
「勉強しなさい」は実は小学校3年生ぐらいが一番効果があります。幼い小学生の間だけです。幼稚園児や幼い小学生には「勉強しなさい」には習慣づけのためにも有効です。
子供は必ず親離れをしていきます。
自立です。
自分のことは自分で決めたいという気持ちが芽生えてきた時期と言えます。
こういう気持ちの時に保護者の皆さんが無理矢理、こうしなさいと言って、子供をコントロールしようとすることは、うまくいかないことが多くなります。
子供が自立を意識した行動をはじめる時期は思春期だとも言えます。
こういう時期に最も重要なのは、保護者の皆さんの命令で動き始める子供ではなく、自分の意志で行動する子供、自分の未来を考えて行動できる子供です。
冒頭の昨年の受験生の例はほぼ毎日、勉強しなさいの言葉がご家庭の中で飛び交っていた例です。
いつもFコマの5分前に登場していて、家のほうが勉強に集中できるから、家で勉強してから来ましたと私には説明していました。
教室で確認のためのテストをしてもまったく点が取れない。
学校の授業も真剣に参加していなかったので、9月からの2ヶ月間の勉強時間は教室に来ていた週5日×80分だけです。
幸い、軌跡に近かったのですが、家での状況が教室に伝わり、11月に入ってから強引に学校から直行で教室に来るようにしたので、何とか必要な内申にぎりぎり到達できたのですが、その後も本番の入試の日までいろいろな出来事がありました。
終わりよければすべてよしですが、次の大学入試はそんな軌跡は起きないものなので、本人の気持ちと行動をいかに変えるのかという視点でご家庭でも接し方を考えていただきたいと思います。